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WordPressでマルチサイト機能を有効化するメリット・デメリットと設定方法

WordPress

複数のWordPressサイトを運営する中で、「サイトごとの更新作業が面倒」「ユーザー管理が煩雑」「サーバーコストがかさむ」といった悩みを抱えていませんか?サイトが増えるほど、その手間は雪だるま式に膨れ上がります。そんな課題を一気に解決できる可能性を秘めているのが、WordPressに標準搭載されている「マルチサイト機能」です。

本記事では、1つのWordPressで複数サイトを一元管理できるこの強力な機能について、メリット・デメリットから具体的な設定方法、そしてどのようなケースで真価を発揮するのかを徹底的に解説します。この記事を最後まで読めば、あなたのサイト運営にマルチサイト機能が本当に必要かどうかが明確になり、次のステップへと迷わず進めるようになるでしょう。

WordPressマルチサイトとは?複数サイトをまとめて管理する強力な機能

WordPressのマルチサイト機能は、1つのWordPressインストール環境で、複数のウェブサイトを管理・運営できる仕組みです。通常、サイトを1つ増やすごとにWordPressのインストールから始める必要がありますが、マルチサイト機能を使えば、その手間を省き、すべてのサイトを1つのダッシュボードから一元管理できます。

そもそもマルチサイト機能って何?

マルチサイト機能は、例えるなら「分譲マンション」のようなものです。1つの建物(WordPress)の中に、独立した多数の部屋(ウェブサイト)が存在し、管理組合(ネットワーク管理者)が建物全体のルールや設備(テーマやプラグイン)を管理します。各部屋の住人(サイト管理者)は、与えられた権限の範囲で自分の部屋を自由にカスタマイズできます。

この機能により、複数のサイトで共通のテーマやプラグイン、ユーザー情報を共有しながら、それぞれのサイトは独立したコンテンツを持つことが可能になります。

こんな人におすすめ!マルチサイトの具体的な活用事例

マルチサイトは、特定の目的を持つ複数のサイト群を効率的に運営したい場合に非常に有効です。

  • 企業の複数ブランドサイト: コーポレートサイト、製品ごとのブランドサイト、採用サイトなどを一元管理。
  • 多言語サイト: example.com/ja/(日本語)、example.com/en/(英語)のように言語ごとにサイトを作成。
  • 大学や学校の公式サイト: 学部ごと、サークルごとにサイトを設け、大学本部が全体を統括。
  • Web制作者のクライアントサイト管理: 複数のクライアントサイトを1つの環境でまとめて管理し、メンテナンスを効率化。
  • ブログプラットフォームの運営: ユーザーにブログサイトを作成・提供するサービスを展開。

サブドメイン型とサブディレクトリ型の違いとは?

マルチサイトを有効化する際に、新しいサイトをどのように作成するか、2つの形式から選びます。これは一度設定すると後から簡単には変更できないため、慎重な選択が必要です。

  • サブドメイン型 (site1.example.com): 各サイトが独立したドメインのように見えます。「ブランドAサイト」「ブランドBサイト」のように、それぞれのサイトの独立性を強調したい場合に適しています。設定にはサーバー側でのワイルドカードDNS設定が必要になることがあります。
  • サブディレクトリ型 (example.com/site1): メインサイトの下層に新しいサイトが作られる形式です。「本社サイト/東京支社」「本社サイト/大阪支社」のように、メインサイトとの関連性を示したい場合に適しています。

どちらの形式がSEOに有利かについては様々な議論がありますが、Googleはどちらの形式も平等に扱うと公式に述べています。そのため、サイトの構造や目的に合わせて選択するのが最適です。 Google検索セントラル – 多地域、多言語サイトの管理


【メリット】作業効率が劇的アップ!WordPressマルチサイト化の利点

マルチサイト化の最大の魅力は、サイト運営における「時間」と「手間」を大幅に削減できる点にあります。

管理は1つのダッシュボードで完結!テーマやプラグインの一括更新

「ネットワーク管理者」専用のダッシュボードから、すべてのサイトのWordPress本体、テーマ、プラグインを一度の操作で更新できます。サイト数が10、20と増えても、更新作業にかかる時間は1サイト分と変わりません。これにより、セキュリティアップデートの適用漏れなどを防ぎ、全サイトを常に最新の状態に保つことができます。

ユーザー管理が楽々!サイトごとの権限設定も自由自在

マルチサイトでは、「ネットワーク管理者(Super Admin)」という最上位の権限が設定されます。この管理者は、新しいサイトの作成、ユーザーの追加、そしてユーザーごとにどのサイトにどの権限(管理者、編集者、投稿者など)を与えるかを自由に設定できます。例えば、AさんにはサイトXの管理者権限を、BさんにはサイトYの投稿者権限を与える、といった柔軟な管理が可能です。

サーバーコストと時間を大幅に削減できる経済的なメリット

複数のサイトを別々に運営する場合、サイトごとにサーバー契約やWordPressのインストール、データベースの作成が必要です。しかし、マルチサイトなら1つのレンタルサーバー契約、1つのWordPress、1つのデータベースで全てのサイトを運用できます。これにより、サーバー費用を抑えられるだけでなく、サイト立ち上げの際の時間的コストも大幅に削減できます。


【デメリット】導入前に必ず確認!マルチサイト化の注意点と落とし穴

便利な機能である一方、マルチサイトには専門的な知識を要する側面や、特有のリスクも存在します。

設定が複雑?専門知識が必要になるケース

マルチサイトを有効化するには、wp-config.php.htaccessといったWordPressの重要な設定ファイルを直接編集する必要があります。これらのファイルを誤って編集すると、サイト全体が表示されなくなる可能性があります。手順自体は確立されていますが、FTPソフトの操作やサーバーのファイル構造に関する基本的な知識が求められます。

すべてのプラグインが対応しているわけではない!互換性の問題

世の中のすべてのプラグインがマルチサイト環境で正常に動作するわけではありません。特に、一部のキャッシュ系プラグインやセキュリティープラグインは、マルチサイトに対応していないか、特別な設定が必要な場合があります。導入したいプラグインがマルチサイトに対応しているか、事前に開発元の公式サイトなどで確認することが不可欠です。

1つの脆弱性が全サイトに影響?セキュリティリスクの考慮

管理が楽になる反面、リスクも一元化されます。ネットワーク内の1つのサイトにセキュリティ上の脆弱性が見つかると、それが原因でネットワーク全体(全サイト)が攻撃の対象となる可能性があります。また、WordPress本体や特定のプラグインに脆弱性が見つかった場合も、影響は全サイトに及びます。堅牢なセキュリティ対策が通常以上に重要になります。

サイトが重くなる?サーバー選びとパフォーマンスへの影響

全サイトがサーバーのリソース(CPUやメモリ)を共有するため、ネットワーク内の特定のサイトにアクセスが集中すると、他のサイトの表示速度まで遅くなることがあります。マルチサイトを運用する場合は、通常のサイト運営よりもスペックに余裕のあるレンタルサーバーを選ぶことが、快適なパフォーマンスを維持する上で非常に重要です。


初心者でも安心!WordPressマルチサイト化の具体的な設定手順

ここでは、既存のWordPressサイトをマルチサイト化する基本的な手順を解説します。作業前には必ずバックアップを取得してください。

【ステップ1】万が一に備える!サイトのバックアップは必須

最も重要なステップです。設定を誤るとサイトにアクセスできなくなるリスクがあるため、必ず**「ファイル」と「データベース」の両方のバックアップ**を取得してください。BackWPupのようなバックアップ用プラグインを利用するか、レンタルサーバーが提供するバックアップ機能の利用を推奨します。

【ステップ2】wp-config.phpを編集してマルチサイト機能を有効化

FTPソフトでサーバーに接続し、WordPressをインストールした階層にあるwp-config.phpファイルを開きます。ファイル内の/* 編集が必要なのはここまでです ! WordPress でのブログをお楽しみください。 */という記述の直前に、以下の1行を追記して保存します。

PHP

define('WP_ALLOW_MULTISITE', true);

【ステップ3】管理画面からネットワークの設定を行う

WordPressの管理画面にログインし直すと、「ツール」メニューの中に「ネットワークの設置」という項目が追加されています。これをクリックし、サブドメイン型かサブディレクトリ型かを選択し、ネットワークのタイトルと管理者のメールアドレスを入力して「インストール」をクリックします。 注意: この時、すべてのプラグインを停止しておく必要があります。

【ステップ4】指定されたコードをwp-config.phpと.htaccessに追記

インストールをクリックすると、画面に2つのコードブロックが表示されます。

  1. wp-config.phpに追記するコード: 指示に従い、再度wp-config.phpファイルを開き、指定されたコードを先ほどと同じ場所(/* 編集が必要なのはここまでです ! */の直前)に貼り付けます。
  2. .htaccessに追記するコード: 次に.htaccessファイルを開き、中身をすべて削除して、指示されたコードに書き換えます。(.htaccessは隠しファイルになっていることが多いので注意してください)

これらの公式な手順については、WordPressの公式ドキュメントでいつでも確認できます。 WordPress Codex 日本語版 – ネットワークの作成

【ステップ5】再ログインしてネットワーク管理者設定を完了

すべてのファイルの編集が終わったら、再度WordPressの管理画面にログインします。画面左上に「参加サイト」というメニューが追加され、そこから「ネットワーク管理者」のダッシュボードに移動できるようになっていれば、設定は成功です。ここから新しいサイトの追加や、ネットワーク全体の設定を行っていきます。


まとめ:あなたのサイト運営にマルチサイト機能は必要?

マルチサイトは強力なツールですが、誰にでも必要なわけではありません。最後に、導入を判断するためのポイントを整理します。

メリット・デメリットを総まとめ

メリットデメリット
✅ WordPress・プラグイン・テーマの一括更新❌ 設定に専門知識が必要
✅ ユーザー情報の一元管理❌ 未対応のプラグインがある
✅ サーバーコストと設置の手間を削減❌ セキュリティリスクが一元化する
✅ 新サイトの立ち上げが迅速❌ サーバーへの負荷が集中しやすい

Google スプレッドシートにエクスポート

マルチサイト化を選ぶべきかどうかの最終判断

以下の項目に当てはまる数が多いほど、マルチサイト化の恩恵を受けやすいと言えます。

  • 管理するサイトが3つ以上あり、今後も増える予定がある。
  • 管理するサイト群で、共通のテーマやプラグインを使用している。
  • 各サイトの管理者に、それぞれ異なる権限を与えたい
  • wp-config.phpなどのファイルを編集することに抵抗がない

もし、関連性のない複数のサイトを単に楽に管理したいだけであれば、次の選択肢も有効です。

マルチサイト化以外の選択肢も検討しよう

複数の独立したWordPressサイトの更新やバックアップ作業を効率化したいだけであれば、マルチサイト化ではなく、専用の管理ツールを利用する選択肢もあります。

  • MainWP: 自分のサーバーに管理ダッシュボードを設置する、オープンソースの管理ツール。
  • ManageWP: クラウドベースで複数のサイトを管理できるサービス。

これらのツールは、各サイトの独立性を保ったまま、更新作業などを一元化できるため、マルチサイトのデメリットを避けたい場合に有効な選択肢となります。

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